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架空のステルス原潜vsロサンゼルス級 『原潜アメリカ強奪』 [小説・本]

 *小説の内容に触れてますので、未読の方は注意して下さい。

 本の方はチョー久し振りの更新です。作者のスティーブン・クーンツはフィデル・カストロ死後(ご本人はまだお元気ですが)のキューバの混乱を描いた『キューバ』とか、映画『イントルーダー 怒りの翼』(ウィレム・デフォーが出てるベトナム戦争もの)の原作の『デビル500応答せず』を書いた有名な軍事サスペンス作家です。

 『原潜〈アメリカ〉強奪(上・下)』(扶桑社)

 「もうちょっと音を拾わないと。やつが接近していることだけは確かだけど」。3分後、エックは言った。「コンピューターによれば、ロスアンジェルス級ですね」(下巻p14)

 お話は…弾道ミサイルを無効化する米欧露共同開発のスーパーイージス衛星の打ち上げが何者かの破壊工作で失敗。ハイテクの粋を集めた衛星は大西洋に落下、行方不明になる。一方で、海中、海上のすべての音響反射を3次元画像に再構成する最新型ソナーを備え、最新型の魚雷ジャミング装置を備えた原潜「アメリカ」が進水式の最中に何者かに強奪される。原潜アメリカは米海軍の総力を挙げた追撃を振り切り、新型弾頭を搭載した巡航ミサイルでワシントン、ニューヨークなどの主要都市を次々に攻撃する。
 巡航ミサイルに搭載されていたのは強力な電磁パルスによるEMP効果で電子回路を広範囲に不能にする特殊弾頭で、管制を失った航空機が墜落、都市機能がマヒするなど甚大な被害を発生させる。一方、原潜アメリカを強奪したのはCIAが旧ソ連の原潜を強奪するために旧ソ連の元原潜艦長を訓練した秘密チームだったことが判明。CIAは海中を超高速で進む旧ソ連のシュクバル水中ロケットの技術を盗むために秘密チームを養成していたが、SVRの妨害で断念。その元艦長を何者かが強奪チームに仕立て上げた。甚大な被害で米ドルは暴落、為替市場でのインサイダー取引によるマネーゲームで莫大な利益を上げた投資家が黒幕として浮上するが、原潜を奪った目的と真の黒幕は別のところにあった…。

 『キューバ』も結構おもしろかったけど、これも構成が複雑で、最後の方まで原潜強奪チームの狙いがなかなか分かりません。迫真の戦闘シーンは米海軍のロサンゼルス級原潜と原潜アメリカの対決。ロサンゼルス級は最新型のシーウルフ級の一世代前の潜水艦ですが、最新型の原潜アメリカに闘いを挑みます。あり合わせの乗員で構成する強奪チームを率いる旧ソ連原潜艦長はハイテクには弱くても操艦術は一流で、互いに知力を尽くした厳しい戦闘になります。

 この作品ではロシアはアメリカの敵ではなく、主人公の知人として登場するSVR工作員は抜け目のない観察者のような立場です。東西冷戦が過去のものとなり、国際社会は巨額の利益を得ようとする企業や政府の力関係で動き、現実の諜報戦の舞台もそっちの方へ展開されていくのかもしれません。


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コメント 2

mana

こんばんは。

戦闘機は存在しているようですし、すでに潜水艦も完成しているのかなぁ〜海中に潜んでいる潜水艦は戦闘機より手強いかも…

>操艦術は一流
海中も地上同様山や谷があるよですし、一流の操舵術がなかったら戦闘なんて絶対無理でしょうね〜
以前観た『レッド・オクトーバーを追え!』とちょっとダブってしまいました。
by mana (2007-12-15 18:55) 

しまうま

 manaさん

 こんばんは~。ちょっとご無沙汰でした。軍事サスペンスはですね~何か漫画みたいな感覚で読んじゃうので、あまり感動したりとかはないんですけど、どうしておもしろいんだろうなあ…。
 元々、F1とかスーパーカーが好き→スペックが好き→戦闘機とかが好き→軍事サスペンス小説が好き…という流れなんでしょうか。

 レッドオクトーバーはあのトム・クランシーのデビュー作ですね。映画は見たなあ…。当時はまだ軍事サスペンス好きじゃなかったです。映画だとベン・アフレックが出てるトータル・フィアーズもクランシーの原作ですよ。結構おもしろかった。
by しまうま (2007-12-15 22:28) 

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