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う~ん………。『ミッドナイト・イーグル』 [映画]

 映画の内容に触れているほか、激しくネタバレしています。あくまで個人的な意見ですが、かなり批判的な内容が含まれますので、未見の方や、好きな俳優が出ているなど、この映画を好きになった人は読まない方がいいでしょう。

 結構期待作だったんだけどなあ…。お話は…。米軍のステルス爆撃機B5が長野県の北アルプス山中に墜落、偶然戦場カメラマンの主人公が目撃する。爆撃機には核兵器が搭載されていて、実は北朝鮮(? はっきり言わないけどたぶんそう)の工作員の破壊活動によって爆弾を仕掛けられ、墜落したのだった。ただの飛行機事故ではないとつかんだ新聞記者と一緒に世紀のスクープを狙って墜落地点を目指すカメラマン。事件を重大視した日本政府は陸自の精鋭部隊を送り込むが、工作員の一団の待ち伏せ攻撃を受けてほぼ全滅してしまいます。

 カメラマンには病死した妻との間に男の子がおり、妻の妹(カメラマンの義理の妹=竹内結子)が育てている。写真週刊誌の編集者である竹内結子は、ステルス爆撃機の破壊工作に参加したものの祖国を裏切ろうとして追われる工作員の居所を突き止め、追っ手の別の工作員と戦ったりしつつ、何故か身重の工作員の恋人を助けたりしながら、最後は裏切り者工作員から預かった核爆弾の起爆解除パスワードが入ったコンピューターチップを官邸に届ける。爆発寸前に爆弾は解除されるが、さらに別の工作員部隊がステルス機に迫る。もう一度起爆装置を奪われれば、また核爆弾が起動する。空挺団のうち生き残った陸自隊員(吉田栄作)と新聞記者の3人で戦うが、もう守りきれないと悟ったカメラマンは「工作員ごと自分たちをナパーム弾で攻撃してくれ」と総理に頼む…。

 え~。まずですね…。

 工作員がステルス機を爆破する動機は「見えない爆撃機がわが祖国の上空を飛ぶのを防ぐため」(だったかな?)とか。核搭載の爆撃機のある基地には旧ソ連のKGBでも侵入できないと思いますが、北朝鮮の工作員はやすやすと侵入して、爆弾を仕掛け、核兵器を起動させ(おまけにパスワードも変更し)、ハイテクのステルス機を墜落させます。もしこれを実際にやったら、米軍は総出動してアルプスを包囲した上に、北朝鮮の軍事基地やらありとあらゆる場所に巡航ミサイルを撃ち込むでしょう。その危険を冒す動機が「上空を飛ばれたくない?」????
 で、何でか分かりませんが、最新鋭のステルス爆撃機なのに肝心の核爆弾は爆弾倉に入って手動でパスワードを打ち込んで起爆することになっています。普通、核爆弾の作動用パスワードは大統領と閣僚が保管しているものでは…。パイロットが脱出する際に無効化する機能ぐらいあるだろうに…。
 墜落現場のアルプスには長野県警も自衛隊も出ているのに、自動小銃と携帯式ロケットを持った重武装の工作員が何十人も簡単に入り込んできて、しかも墜落直後に出動した精鋭の陸自空挺団より早く現場に着いていて(どうやって場所を知った?)待ち伏せ攻撃をしたりします。しかも陸自最強の空挺団を全滅させた工作員の射撃はカメラマンと新聞記者には外れっぱなし(まあ、これは映画だからしゃあないか)。

 やっとのことで変更されたパスワードを解明して起爆を解除した後、再び北朝鮮工作員が攻めてきて、爆弾を再起動しようとしますが、見ている私は「起爆装置を小銃で壊して逃げればいいのに」とずっと思ってました。核爆弾は精密兵器なので、仮にロケット弾で外から撃っても普通は核爆発は起こしません。起爆装置がなければ、ただの頑丈な金属の塊です。
 で、何故かステルス機のコクピットには小型カメラ(スカイプみたいなやつ)が付いていて、官邸の竹内結子と映像付きで話をしたりします。起爆装置の再起動を狙う工作員の攻撃に対して陸自が応援部隊を出そうとして、猛吹雪で泣く泣く断念します。だから最後の手段としてナパーム弾で工作員ごと焼き殺すことになるんですが、米軍のトマホークミサイル(ナパーム弾が載るのか??)が着弾する時、吹雪はすっかりやんでて、アルプスには何故か鮮やかな朝焼けの日差しが差しているのです。「今からでも遅くないよ! 陸自の戦闘ヘリで一網打尽にしてしまえよ!」と思ってしまいました。

 そもそも、危険を承知で功名心(大スクープの取材)にかられて勝手にやって来たに過ぎない新聞記者とかカメラマンが、どうして国を守るだのなんだのの立場になるのか、工作員を一時的にせよかくまった竹内結子は警視庁公安部に犯人隠避容疑で逮捕されないのかとか、雑誌社はガサ入れ受けないのかとか、日本に潜入した秘密工作員なのに任務中に子供つくるなよ(しかも相手は不法滞在? 危険すぎる…)とか…。

 私が軍事サスペンスが好きということもあるかもしれませんが、それ以上にどう考えても脚本がヘンな気がします。つまり、お話にリアリティがない。昨日からの公開のはずですけど、劇場はガラガラでしたよ。きっと、中には見て感動する人もいると思います。あの、「彗星が地球に衝突する映画」系の感動ストーリーですし。

 だけど…現在の日本は大臣が「日本にはテロリストがうようよしている」と公の場所で発言するくらいですから、本当は映画のような状況かもしれません。北朝鮮の工作員は隙あらば日本を破滅させようとしていて、今は非常に危険な時なのだ、と考える人には納得の映画かもしれません。


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コメント 2

ひょう

ありゃりゃ、辛口。
CMはとても面白そうだったのですが。

> 中には見て感動する人もいると思います。
> あの、「彗星が地球に衝突する映画」系の感動ストーリーですし。

うっ、もし感動してしまったら、どうしよう・・・?(笑)
by ひょう (2007-11-26 23:30) 

しまうま

 こんばんは。

 いや、普通の映画ファンには十分に楽しめる映画だと思いますよ。陸自と空自が全面協力らしくて、映像に迫力ありますしね。私は軍事サスペンス小説が好きなんで、細かいところが気になるだけです。

 まあ、『ダイハード4』ではブルース・ウィリスが素手で最新型の戦闘機に勝ちましたし。久々に見た吉田栄作が格好良かったですよ。
by しまうま (2007-11-27 00:00) 

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