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日本のミグが北朝鮮と闘う。『韓国軍北侵』 [小説・本]

 *小説の内容に触れてますので未読の方はご注意ください。

 

 『韓国軍北侵』(二見書房)デイル・ブラウン

 お話は…貧困にあえぐ北朝鮮から核爆弾を抱いた旧式機が韓国に進入。運良く核爆発は逃れるが、韓国は北朝鮮が現実に核兵器を持っていることに震撼する。やがて、韓国政府は高度なスパイ活動で北政府に浸透し、クーデターを成功させて朝鮮半島統一に成功する。キム・ジョンイルは中国へ亡命、亡命政府を樹立する。

 しかし、北の軍事基地には中国から供与された核弾頭、生物兵器、中距離弾道ミサイルなどが大量に保管されていた。米軍、中国軍を領土から撤退させ、核保有を背景に軍事的な独立も図ろうとする統一コリアに中国が警戒感を抱き、機甲師団を投入、一方、統一コリア政府内の強硬派が核兵器による中国との全面対決に踏み切るが…てな展開です。

 作者のデイル・ブラウンは爆撃機を主役にすえた物語が得意で、今回は一世代前のステルス爆撃機B-1の改造型が対地攻撃、空対空戦闘、弾道弾迎撃と大活躍。物質を消滅させるプラズマ弾頭というトンデモ兵器も出てきます。

 「『やつは…おれたちの左にいる、距離は…距離約1マイル』機長は言った。『ちっくしょう、日本の戦闘機だ! 尾部に赤い日の丸が見える! 日本のミグ29戦闘機だ! そうか、おれたちを追いかけていた北朝鮮のミグをこの連中がやっつけてくれたんだ』(下巻p98)

 同じ作者の別の物語で、独立を宣言した台湾を中国が核攻撃(!)し、それに対してアメリカが核で報復しなかったために、日本は安保政策でアメリカと距離を置き始め、ロシアの戦闘機を買い始めた…という時代設定になっています。う~む…日本の空自、ホントに買わないかな。ミグかスホーイ…とにかくかっこいい機体ですから。F15とかF22よっかずっと安いし…。

 デイル・ブラウンの一連の作品の中でずっと主役の最新鋭兵器開発部門「ドリームランド」の責任者マクラナハン准将が、州航空兵というあまりスポットの当たらないパイロットから弾道弾攻撃を任務とする改良型B-1チームを選抜して、ノドン、テポドン、スカッド、フロッグが飛び交う朝鮮半島で中国軍の戦闘機と闘いつつ、韓国軍の核ミサイルを打ち落としたりと縦横無尽の活躍が描かれます。訓練中の事故で同僚を失ったパイロットの苦悩やら恋愛やらが散りばめられていて、上下巻で長いし、ちょっと冗長な感もあります。

 「『やつら…待てよ。戦闘機のレーダーを捉えた…。Iバンド・フラッシュダンスレーダーだ…くそっ! ミグ31フォックスハウンドだ! 二機いる!』 ロシア製ミグ31フォックスハウンドは、低高度で飛行する超音速爆撃機と巡航ミサイルを撃墜するのを目的として設計された、世界最速の恐ろしい要撃機だった。『戦争は終わったみたいだ-なのに、戦闘機に知らせるのを、誰かが忘れたらしい!』」(下巻p304)

 空中戦のシーンは全体の分量から言うと短いですけど、元軍人の作者らしく、他の作品の例にもれず迫力あります。日本の空自はいつの間にか参戦して中国機落としちゃうし、既に集団的自衛権の問題は解決しちゃった後のようです。だけど、ホントに北朝鮮でクーデターが起きていきなり半島が韓国に統一されたら、たぶん中国は黙ってはいないでしょうね…。


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