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ロシア版マトリックスだとか。『デイ・ウォッチ』 [映画]

 *映画の内容に触れていますので未見の方は注意して下さい。

 旧ソ連時代は国営の映画制作会社もあった実は映画大国のロシア。この映画はハリウッド級のダークファンタジーアクションとして鳴り物入りで登場、全3部作で、ロシアではソ連解体以降で最大級のヒット作となったとか。

 (写真はパンフレット)

 映画は「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」「ドーン(orトワイライト)・ウォッチ」の3部作の小説(小説は4部まであるとか)が原作だそうです。
 あらすじは…特殊な能力を持つ人類の異種(X-MENのミュータントみたいなもんですね)が「光」と「闇」の2つのグループに分かれて何千年も前から闘っていた。遠い昔に両グループで停戦が成立。互いに協定を作って表面上は平和に共存していたが、実は互いに監視役を起き、協定を破った者を処罰するなど緊張した関係を維持していた。ある時、その均衡を崩す強力な力を持つ「偉大なる異種」が互いの陣営に現れたため、人類の滅亡につながる大戦が再び始まる…という壮大な物語。

 前作の「ナイト・ウォッチ」では、主人公のアントンの個人的な恨みが光と闇の双方の陣営に緊張を作り出し、さらに「偉大な異種」として覚醒した自分の息子が闇の陣営の側へ走ってしまう。一方で光の陣営も自らの「偉大な異種」を探し当てるまで。
 今作はアントンに思いを寄せる光の陣営の偉大な異種(女性)と闇の陣営の偉大な異種(アントンの息子)の間で複雑な感情のもつれやらさや当てがあり、陰謀で闇の陣営の異種を殺したとの嫌疑をかけられたアントンをめぐって、光と闇の間で一気に緊張が高まる。そのいざこざを再び均衡に戻すには、時間をさかのぼって誤りをただす「運命のチョーク」(?)が必要で、その魔法のアイテムの奪い合いも絡んで派手なアクションがあります。

 何と言ってもかっこいいのは、闇の陣営のリーダーの愛人役の魔女が真っ赤なRX8を駆って大きな湾曲した構造のビル(ホテル?)の壁面を垂直に走るシーン。そのまんま窓から部屋に突っ込んで、何事もなかったように降りてきます。ここは確かにマトリックス風。トリニティみたいでかっこいいです。もの凄いドラテク(つうか重力を無視? 魔女だからか)ですが、ロシアでもRX8売ってるのかな? 雪降るのにFRで走りにくくないんだろうか…。

 前作もそうだったんですけど、モスクワを舞台にしてるだけあって、画面が全体にダークな感じで、それがアメリカでもヨーロッパでもない不思議な雰囲気を作品に与えています。その一方で、制作費とかVFXの技術力の関係か、全体に安っぽくてスケールの小ささも感じてしまって、異種同士が闘ってる場面も何となく狭い場所でちまちまやり合ってるように見えてしまうんですね。
 今回は全体にスケールアップして、RX8の無重力ドリフトもそうですが、ラストの偉大なる異種同士の闘いが半端じゃない。アントンの息子、闇の陣営の偉大なる異種は子供のおもちゃ? みたいなものを武器に使うんですが、一撃でモスクワの街がほぼ全壊。ここの場面のCGはかなりよくできてます。光の側の偉大なる異種もアントンの危機に際してチラッと本気モードに入るんですけど、大勢の闇の異種を一撃でなぎ倒すパワーで、そういうのをもうちょっと見たかった。

 小さなおもちゃで街をぶっ壊すほか、アントンが闇の異種と闘う時の武器が懐中電灯(光を当てると相手の正体が分かり、破壊力もある)だったり、光の番人グループがパトロールで乗ってるのがごみ収集車? みたいな古いトラックだったり(でも隠しボタンを押すとロケットのように加速する)、セットや小道具にお金がかかってるのかかかってないのかよく分からないような「ダサかっこよさ」もこの作品の持ち味かな。
 笑える場面も少し入れているんですが、ちょっと微妙なセンスで見ている人で笑った人はいなかったなぁ。BGMが何だか場面に合ってない気がしたり、あらすじで「??」という部分もあるにはあるんですけど、分かりやすい勧善懲悪のハリウッド映画を見慣れた目には珍妙なところも含めて新鮮に感じます。

 光と闇は互いに牽制し合っているけど、元は同族なわけで、友達同士だったりもするんだけど、闇側は光の番人に監視されている抑圧に耐えられなくなってきている、という状況設定のようです。なんとな~くマトリックスというより、X-MENを思い出すんですが(RX8も活躍するし)、どことなく冷戦時代のアメリカとソ連のようでもあるなあと思いました。3部作の最終作はハリウッドも資金を提供するそうで、配給が同じFOXだし、X-MENの善と悪の両陣営と光と闇の両陣営がタッグを組んで闘う……なんて映画になるとおもしろいと思うんですけど。


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コメント 2

mana

映画大国は、インドというイメージでした。(人口も…)
ロシアも沢山の映画が製作されてたんですね。

しまうまさん、あちらこちらで登場するRX8が気になったようですね。(* ̄m ̄)プッ

by mana (2008-03-28 19:28) 

しまうま

 manaさん

 インド映画って一時期流行りましたけど、見てないんですよね〜。ロシア映画は旧ソ連時代も含めて、戦争映画のスケールは凄いですよ。何せ本物の戦車とか兵隊使ってるし…。映画撮影専門の部隊があったそうですし。映画も国営会社が作っていたそうですし。
 それにしても、この映画のRX8、X-MENよりもかっこ良かったですよ。ワンシーンワンシーンがクルマのCMみたいでした。
by しまうま (2008-03-29 12:01) 

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