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ほのぼのとお腹に優しい映画。『世界最速のインディアン』 [映画]

 *映画のあらすじに触れてますので、未見の方はご注意下さい。

 仕事でどうもそりの合わない人とぶち当たって、どうにもくさくさした気分なので、こういう時は元気の出る映画でも…と思って、行ってきました。『世界最速のインディアン』。これ、かなりの期待作でした。

(写真はパンフレット)

 映画はニュージーランドの小さな街に住むバイク好きのおじさん(おじいさん?)バート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)が1920年に買った古いアメリカ製オートバイ「インディアン」の改造マシンで、アメリカのボンヌビルの塩の平原でバイクの最高速度の世界記録にチャレンジするというお話で、実話がベースになってるそうです。


 バートは田舎の人の良いおじさんで人懐っこく、地球を半周する旅にはいろんな困難が持ち上がるんですが、いろんないい人に巡り会って助けを得て、人生の最大の夢にチャレンジします。今、ちょうど会社を定年になったり、そろそろ年金暮らしが始まる世代、日本では「団塊の世代」ぐらいの人たちに大いに元気を与える映画です。アンソニー・ホプキンスのファンの人は、彼がびっくりするくらい普通でいい人の役をやってるので、その意味でも見る価値あるかもしれません。

 で、結構な感動作なんですけど、私は何故か涙腺がボロボロ〜って感じではなかったです。ほのぼのしていて、すごく後味のいい映画です。出てくる人出てくる人がみんないい人で、特に子役の男の子が良い子でかわいいの何のって。思わず、息子が(もし)できるならこんな子がいいな、と思ってしまいました。世界中が殺伐としたこんな世の中で、ささくれだった気分を癒してくれるような、ほのぼのとお腹に優しい映画でした。


 いろんな苦難を乗り越えて、やっと「スピードの聖地」ボンヌビルの平原に立ったバートは、その威厳に全身を打たれたように立ちすくんでしまいます。そこで記録を打ち立てた数々の伝説のレーサーの名前を思い出しながら、涙ぐむ一人のバイク乗り。そこはさすが名優だなあ…と思わせる引き込まれる場面でした。そして、ほとんど手作りで、見た目はおんぼろのインディアンが見渡す限り真っ白な塩の平原を爆音とともにぶっ飛ばし、どんどん加速していくシーンはホントにスカッとしますよ(私がバイク好きだから?)。

 監督さんは元々、ニュージーランドでバート・マンローのドキュメンタリーを撮影した人らしく、その時からこの映画を撮りたかったそうです。だけど、資金やいろんな面で都合がつかず、ハリウッドで苦労して成功をつかみ(『リクルート』とか『13デイズ』を撮った人だそうです)、スポンサーを集められる立場になって、構想から30年以上かかって、やっとこの映画を撮れたそうです。そういう意味では、監督さんの思い入れがビシビシ画面から伝わってきます。実在のバート・マンローは大勢の孫に恵まれた好々爺らしく、たぶん幸せな人生を過ごしたんでしょうね。
 初日に行きましたけど、大阪市内のミニシアターはほぼ満席でした。やっぱりおじさんのお客さんが多かったです。

 こんなに良い映画なのに、涙腺がボロボロ〜にならなかったのは、どうしてだろう? と考えるに…。この映画の主人公は、年老いて、金もなく、あるのはただ夢とガッツだけという絵に描いたようなヒーローなんですよね。自分のやるべきこと、やりたいことについて微塵も迷っていない。「夢を追わない人間は野菜と同じだ」なんてかっこいい台詞もありました。

 もし、「本当はこんなことがやりたい」と思い悩みながら、それに挑戦できないでいる人が見たら、きっと感動する映画なんでしょう。しかし、多くの現代人の不幸は「自分の夢とは何なのか分からない」「自分の人生を何に懸けるべきなのか分からない」という閉塞感にあるのではないかなあ。特にこれというものが足りないわけではないけど、満ち足りてはいない。でも、何が足りないんだろう、自分はどうすべきなんだろう…そんな何となく沈みがちな気分を胸の奥の方にしまい込んでいる人には、バート・マンローの生き方はまぶしすぎて、自分を励ますところまでは共感できないのかなあ、と。違う気分の時に見たら鼻をぐずぐずしながら見ていたかもしれません。


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コメント 4

mana

仕事で出来た眉間のシワもとれ、元気を頂いて来たようですね~
映画館を出る頃は、自然と笑顔になっていたのでは…
by mana (2007-02-11 19:09) 

しまうま

 manaさん

 団塊の世代の人が見ると、元気出るかも、ですよ。仕事でできた眉間のしわは…。う〜む…今日は自分へのご褒美で映画を2本ハシゴで見てきました。……ささやかなご褒美だ……。小物なワタシ…。
by しまうま (2007-02-12 00:44) 

mana

映画のハシゴですか…(^^;
お疲れ様でした!
>う〜む…
なんて唸ってたら、あっ、シワが1本増えた!
深~く刻み込まれて、なかなか消えないようですね…
考え込むような映画は避け、お腹に優しい映画を…(^^;
by mana (2007-02-12 01:44) 

しまうま

 manaさん

 そうっす。我ながら小さいご褒美やな〜と。何かど〜んと買い物でもするか? と考えるに、特に欲しい物ないし。あ、マンション買ったか。別に欲しかったわけじゃないんですけど。
 最近、涙腺を乱れ打ちにされる映画から遠ざかってるな〜。ちょっとお疲れ気味だからですかね。
by しまうま (2007-02-12 17:55) 

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